（短編 転載）考察してみる。

これはインスタントフィクション。

インスタントフィクションとは、

自由な発想と気軽なノリで書かれた文章。

 [ いつもの朝（転載）]

朝７時、アラームの音が、

私に一日の始まりを告げた。

起床するとすぐ、

洗面台へ向かいうがいをする。

トーストされた食パンを食べ、

トイレをし、スーツに着替える。

これが、平日の朝の日課である。

何も変わらない、退屈な日常。

いつもより５分ほど遅れて、

自宅のアパートを出発した。

駅への道を早歩きで進んでいく。

すると、道中のゴミ箱に、

女子高生が逆さまの状態で

捨てられているのを見つけた。

スカートがめくれ、

露になっている白いパンツ。

硬直し、動く様子のない脚。

女子高生の顔は、

ごみに隠れていて、見えない。

「おかしい。

今日は木曜だから、男子校生日なのに」

[考察]

タイトルは、いつもの朝。

そこに描かれているのは、本人にとって退屈と感じる、平日の朝の日課。

一番初めに気になったのは、いつもの朝でありながら、なぜこの日は5分ほど遅れたのか。

小さい事だが気になる。

トーストを食べるのにいつもより時間がかかったのか。それともトイレ。はたまたスーツに着るのにか。文面からは分からないが、どこかの描写において、非日常が起こったのだろう。

そして主人公は駅へ向かう途中、ゴミ箱に捨てられた女子高生を発見する。

もう一度タイトルを確認すると、[ いつもの朝 ]。一見理解し難い光景であるが、この世界観では、これが日常であり、当然の光景なのだろう。

その証拠に主人公の彼は動揺せず、女子高生の様子を観察する。早歩きですれ違う、わずかな時間で、これだけの事を見て理解した。きっと、木曜日ではない別の曜日では、この女子高生が今のように捨てられているのが当然の光景になるのだろう。

ぼくの視点から見れば、なぜ彼は女子高生を助けなかったのだろうかと思うが、彼はきっと、本当に女子高生が死んで硬直している事を分かっていたのだろう。だから助けなかった。

さらにゴミ箱に、しかも逆さまに捨てられている事から、人としてではなく完全にゴミとして扱われている。

この曜日で本来 捨てられているはずの男子校生は然り、他にどのような人たちが捨てられていくのかは定かではないが、死んだ人がゴミとして出される、そのような世界なのだろう。

その一方で、この男性の視点も気になる。

確かに女子高生をゴミとして見つつも「スカートがめくれ、露わになっているパンツ。顔が隠れている。」と、彼女をちゃんとした1人の女性として見ている。そこには、今はゴミとなっていても、当然であるが、元は生きていた人として見ている事が分かる。

気になる点はまだあるが、おそらく女子高生を捨てた人は、ゴミ置き場に本来捨てられているはずの男子高生が1人も捨てられていなかったから、勘違いして女子高生を捨てている。

主人公の男性は7時に起き、日課を済ませ5分遅れて自宅アパートから出発している事から、その日課の内容を見ても、7時半前後に家を出ているのが妥当。

朝ゴミが捨てられるのは、割りかし早く、7時半頃にはある程度ゴミは捨てられているはず。にもかかわらずこの日は、まだ男子校生は捨てられておらず、間違って捨てられた女子高生1人だったのだ。つまり、このゴミとして人が捨てられる事は、1日に何人もと頻繁ではないように考えられる。

しかしその一方で、毎週木曜日としてそのゴミの日がやってくるのは、1つの家庭から毎週出るゴミという訳ではなく、地域単位で定期的に出るゴミなのかもしれない。

掘り下げてみると、サイコ的な世界観が見えてくるが、仮に1人亡くなったとして、1週間以上家に置いておくのは難しい。だから毎週捨てる日が決まっているのかもしれない。

またさらにおかしいのは、同じ人間であるにも関わらず、女性と男性で分別されている事。もっと言えば週に7つしかない曜日の2つに女子高生、男子校生が当てられているという事は、他の5つの曜日はざっくりとした分別なのか、それとも、ゴミとしては出されない人たちなのか。

謎は深まるばかりだが、この短編を書いた本人は恐らくそこまで深く考えていないという事が、インスタントフィクションの面白みだろう。また解釈をする人によっては、今ぼくが書いたこととは、全く違う考察をするかもしれない。

皆さんならどう読みましたか？

他に気づいた事があれば教えてください。

以上。