てくてく日和

Fiction&NonFiction 20代男一人暮らしの趣味ブログ

努力では真似できないもの

努力では真似できない事がある。

それは技術ではなく、心の話。

 

ぼくには尊敬できる人がいる。誰も彼もというわけではなく2人か3人。その内の1人としてはカウントはされていないが、ぼくの妹にも尊敬できる部分がある。

 

ぼくの妹は、世間一般では良い子と呼ばれる分類だ。ぼくには良い子の基準は分からないが、ただ優しい子であることは確かである。

 

数年振りだろうか、久しぶりに妹と会ったのは、実家で集まった時。と言っても実家には誰も住んでおらず、妹の用事に付き合うために、それぞれ帰って合流した。

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数日家に泊まる事になっていたので、身一つで来るとは思っていなかったが、駅のホームから出てきたのは、思っていた以上の大荷物を抱えた妹の姿だった。

 

お互い久しぶりと挨拶を交わした後、妹は

「はいこれ。」と言った。

 

大きな袋に入っていたのは、まだ2人が実家に住んでいた頃、一緒に出かけ、ぼくがお店で出会ってしまった、最高に素敵なオーナメントだった。決して小さい物ではない。高さは50センチほど。しっかりと中には骨があって、ある程度の重さで自立するぬいぐるみをイメージしてほしい。

 

ぼくの頭の中に色々な事がよぎったが、

「どこで買って来たの?」と聞いた。

 

妹の住んでいる場所は、隣の県のはずれ。
ここに到着する ひと駅前で買って来たのと、地元で買った物を、ずっと抱えて来たのとでは話が違う。

そして答えは後者だった。


特急電車が停まる町ではなく、バスと電車と乗り継いで1時間以上、満員電車の中もこの大きな荷物を持って帰って来たのだ。満員電車に乗る事も想定できたはず。

 

相手は妹。

この事態をぼくには正しく認識できなかった。

 

しかし、もし自分だったら、こんな面倒な事 絶対にしない。もし相手が恋人であっても、選択肢に思い浮かんでも、出来る自信はない。

なんせ物は大きく 荷物にしては重すぎる。

 

子供の頃は、確かに仲は良かった。多少の意地悪はあったかもしれないが、嫌われるほどではない。しかし、こんな事をされては、これまでの些細な意地悪も全て土下座して謝りたくなる気持ちになった。

 

さらに妹は凄いやつだった。

もし ぼくが妹と同じ事をしたら、ここまで持ってきた苦労話をして、一つでも多くの感謝の言葉を引き出そうとするだろう。しかし、妹は ぼくがありがとうの一言を言う前には、ご飯をどこで食べるかと話しかけてきた。

 

彼女にとっては何も、特別な事をした気にはなっていなかった。何の躊躇いや迷いもなくここまでできるとは。

 

ぼくは素直に尊敬した。
ぼくには持っていないものを持っていた。

 

しかし、
思い返してみると、
昔からこんなやつだったようにも感じる。

 

妹が友達とテーマパークに行った時の事。お土産に、ぼくの好きなキャラクターのぬいぐるみを買って来てくれた。おそらく、わざとではないだろうが3800円のタグがぶら下がっていた。

これにも驚かされた。

 

もしぼくだったら。

せいぜい800円くらいのキーホールダーを選ぶか、少し大盤振る舞いしても、1500円の缶に入ったクッキーを買って、家族で食べた後、その可愛い缶でもあげれば喜ぶだろう、とくらいにしか思わない。ぼくの中の兄妹感はその程度だ。

 

しかし、妹は3800円。


それだけあれば、自分の欲しい物がもっとたくさん買えただろうに。

 

さらに思い返すと、妹は誰に対してもいつもこうだった。人へのプレゼントには惜しげもなくお金を使うのだ。

 

女性の立場から見れば 全て当然なのだろうか。もしそうなら、ぼくは全ての女性に敬意を払いたい。

 

妹の姿に諭されるのは兄として恥ずかしい気もするが、これくらいの器の大きさで、人をもてなしてみたいものだ。

 

努力では真似できない。

お金の使い方じゃない、

その心を学びたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後まで

読んでいただきありがとうございました。

 

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