てくてく日和

Fiction&NonFiction 20代男一人暮らしの趣味ブログ

小さな背中

ある日の昼過ぎ突然車内で起こった夫婦喧嘩。
お互い過去の出来事を掘り返しては

謝る事なくヒートアップ。
運転を放棄した父は

車を路肩に止めて喧嘩に熱が入った。


その中、嫌気がさした兄(当時小6)は

車を飛び出していった。

 

両親は兄の気持ちを察してか、

無理に戻るようには言わなかった。

 

扉は開いたまま。

ぼく(当時小1)の目には

歩いて行く兄の後ろ姿が見えていた。

 

兄を追うか、車に残るか、ぼくにとっては生きるか死ぬか、迫られらように感じた。ぼくは兄を追う事にした。車を降りると、母は500円玉を渡してくれた。

 

兄は黙って家とは反対方向に歩いて行く。結局5kmほど歩いた先にあったマクドナルドで1つのハンバーガーを買い、2人で分けて食べた。

家族で昼ごはんを食べに行く所で、まだ何も食べていなかったのだ。

 

親の不仲まじまじと見せつけられた後。

兄と話す事は何もない。

 

帰りにはアイスキャンディーを1本ずつ。
もう辺りは暗くなる中、クタクタで歩けなくなったぼくを兄はおぶって、ひたすら歩いてくれた。自販機の前、ぼくの飲みたいジュースを買ってくれた。

 

不思議とその日、

2人で家に帰った後の記憶はほとんどない。

ただ、怒られはしなかったことだけは覚えている。

 

子供というのは不憫な生き物だ。